『 親の願いB 』

 関市 光圓寺  日野 安晃 師

 

いのちが助かって欲しい!
これが、親が子どもに望む一番シンプルでストレートな願いではないでしょうか。けれども、それではいのちが助かる、とはどういうことでしょうか。死なない、ということでしょうか?そうだとすると、最終的に助かるいのちはひとつもありません。第一、子どもに、毎日、死なないで、と呼びかけるというのもおかしな話です。
原口針水という学徳兼備と称えられた和上さまが、法話をされるたびに語られたのが「我れ称え 我れ聞くなれど 南無阿弥陀仏 つれて帰るの 親の呼び声」という歌だったといいます。南無阿弥陀仏とお念仏申すことは、どんな困難の中にあっても、精一杯の人生を歩んでおくれ、それは、おまえが仏となるための大切な人生なのだよと、私達のいのちの本当の親さまが、他の一切の余計なことを選び捨てた上で呼び続けていて下さったのだなぁ、と慶ばれたのです。
何のために生まれてきたのか、そのことを、子どもとともに、真実の親さまに聞かせていただくのであります。ここをはずしてしまうと、どんなもっともらしいことを言っていても、親のエゴ、自分の都合を押し付けることにしかなりません。
お念仏申しておるか?
はじめは、なかなか勇気が要ります。お参りでもないのに何で?と聞かれるかもしれません。私とお前のいのちの親さまのたった一つの願いだからだよ。仏さまはいつも私たちと一緒にいたいんだよ。???、おそらく子どもの頭に三つ位は?マークが浮ぶことでしょう。けれども、いつかかならず、お念仏申せ、と親父には耳にたこが出来るほど聞かされたけれども、これって、とっても大事なことだったのだな、と気づいてもらえる日がくるに違いありません。それで、いいのだと思います。
                              合掌