『 いだかれて 』

 揖斐川町 善明寺  徳岡 健秀

 「いだかれてあるとも知らず愚かにも、我反抗すおおいなるみ手に」九条武子様のこの歌を最近しみじみと味わわさせていただいております。
 と言いますのは、私には二人の子供がいて、下の子が二歳になります。何をするのにも手が掛かり、気に入らないとすぐへそを曲げます。たとえば食事をします。食べさせてもらうのがイヤで自分で食べます。当然まだうまく食べられないので、こぼしたり口のまわりもベタベタにしてしまいます。それをキレイにしてあげようとタオルで拭こうとするとイヤイヤと逃げていってしまいます。
 おむつを替えるときも、替えた方が気持ちいいのにと思うのですが、イヤイヤと逃げてしまいます。私がその子のためにと思ってしているのですが、当の本人はそんな気持ちとは裏腹に迷惑がって逃げまどうのです。気持ちが伝わらない、わからないと言うのはこうしたものなのでしょう。
 しかし、そういう私も実は逃げまどう子供と少しも変わらないんだよ、と気づかせてくれたのがこの歌です。ふだんの生活の中で、腹を立てたり、愚痴を言ったり、人を憎んだり、ねたんだり仏様のお心に背くようなことばかりしています。しかもその大きな罪に気づかずに済ましてしまいます。その私を見捨てることなく大きくつつんでいてくださっている阿弥陀様。共に歩み、導いてくださる仏様です。反抗せず素直にお任せできるようになりたいものです。

                                合掌