『 二百十億の仏国土 』

 大垣市 林雙寺  水上 誠孝 師



 

先日、あるパソコンのソフトを手に入れました。そのソフトを使うと、文字や画像をパソコンやプロジェクターなどで大きく映し出す事ができるという物です。そこで、資料づくりの途中で新たな発見がありました。正信偈の最初にある、法蔵菩薩因位時、在世自在王仏所、覩見諸仏浄土因、国土人天之善悪の四句のところですが、ここの意訳は「法蔵比丘のいにしえに 世自在王のみもとにて 諸仏浄土の因たずね 人天のよしあしみそなわし」とあります。ここの所を説明するのに、法蔵菩薩が覩見された諸仏の国は、210億という沢山な国だと大経にはあります。その210億の数字を横書きにして出してみました。漢字で書いていたときに気づきませんでしたが、21の後に、〇がなんと九つもつくのです。試しに、一年365日ですから、この210億を365で割ってみました。一日に一つの国を見たとしたらどのぐらいの時間がかかるのかということです。計算して見ると、なんと5753万年かかることになります。神通力を得られた方ですから、もし一日に一万の国を見られたとしても、5753年。私たちの100年の寿命ではとても追いつきません。法蔵菩薩はその後、五劫の間、思惟してとあったり、弥陀成仏のこのかたは今に十劫へたまえりなどと、私たちは簡単に口にしていますが、とても想像出来ない長い時間、人間の智慧の及ぶ所でない遠い昔からということが、語られています。これは、時代が変わっても変わることのない、真理ということをはっきりと、表現されたのではないかと思えます。これまで、耳だけで聞いていたものを、実際に視覚的にして、目で見てみると新たな発見があることに気づきました。南无阿弥陀仏は、この私に与えられた真理のことば、人間をもっとも人間らしく生きるようにさせようとの仏様の働きの言葉であると味わえてきました。そのために、法蔵菩薩は想像もつかない長い間ご苦労していただいたこと、私の知らないところで、私のために努力していただく方があったのだと。気づかせて頂きました。

                              合掌