『 子どもにこそ仏法を @ 』

  関市 光圓寺  日野 安晃 師


 TVアニメのサザエさん」をご覧にな られている方は、一度、食事のシーンを注 意して観ていただきたいのですが、昔なつ
かしいちゃぶ台を囲んでいるカツオ君やワ カメちやんたち子どもは座布団をあててい ません。これは今なら児童虐待と受け取る 方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 しかし、カツオ君たちはそれをあたりまえ に受け入れていて不当とも不幸とも思って いないようです。おそらく、仕事を持って 働いている大人たちに自分は養われている 身であり、やがては自分もそのように白立 していくのだ、ということをそんな形で学 んでいるのだと思います。
親と友達のような言葉遣いを交わす子、 先生にタメロを聞く生徒。これでは、自分 を仲間と見てくれる者とそうでない者とに
分けてしまう単純で貧しい世界観しか持ち えないのではないかと心配になります。皆 さんのお宅ではどうですか?今、目上の者にキチンと敬語が使える子どもがどれくら いいるでしょうか?そう、今、最も欠けて いるのが、敬虔感情=お敬いの心ではない でしょうか。身近な年長者にはじまって大 自然の神秘さまで、自分を超えた何か大き なものの中で白分を見出すという経験があ まりにも不足しているように思われます。
 しかし、今さら昔のように父親の権威を 復活させることには無理があると思われる でしょうか?確かに、先生であれ、内閣総 理大臣であれ、そもそも誰か人に対して敬 度な感情を持つということは現代では大変 難しいことだと思います。では、どうすれ ばよいのか?
 大自然の神秘さにふれることでもいいの でしょうが、やはりなんといっても大切な ことは、仏さまを敬い、み教えに生きた先
輩であるご先祖の方々を偲ぶ事ではないで しょうか。



                             合掌