『　あなたが先?　』

　　池田町　浄妙寺　　　野村　法宏　師

　先日、アグネス・チャンの講演を聴く機会に恵まれました。あの「ひなげしの花」で日本デビューを飾ったグネス・チャンも今や四十九歳。可愛かったですねえ、あの頃は、いやいや、今も十分魅力的でした。玩在は、歌手としてまた、大学で教鞭をとられたりユニセフ大使として活動されるなど、様々な分野で活躍をされています。そのモソトーは、人間が人間らしく生きるためには、ということのようです。
　アグネスチャン自織は敬度なキリスト教徒で、このように話されました。
　横長のテーブルがあり、大勢の人がお腹をすかした状態で座っています。一人一人には自分の身の丈もある長いお箸が渡されます。テーブルにはご馳走が並んでいます。お箸でご馳走をつまんで自分の口に入れようとしますが、長いお箸が隣の人にあたってしまい、ご馳走が自分の口に届きません。お互いが「お前が邪魔だ」と言い争いになり、大騒動になる。これを地獄と言います。
　一方、長いお箸でつまんだご馳走を自分の口に運ぼうとするのではなく、ほどよい距離にいる他人に食べさせてあげる。そうすれば、自分も誰かが食べさせて下さる。これが天国です。
　自分のことばかりを考え、他人よりも自分か先などと考える世界を地獄。他人を先にして、みんなが共に歩むことができるように考える世界を天国と教えて下さいました。
　過去に於いてこの地球上で争いの絶えた時期はないと言われます。ということは、人間の歴史は地獄の歴史なのでしょうか。あなた挿仏に杜甘なければ、私も仏にはなりません、あなたが先ですよと誓って下さった阿弥陀様にであえてよ商ったですね。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　合掌