ここでは、住職とその仲間のお寺で運営している「テレホン法話」を掲載しています。法話は一週間ごとに変わっていきます。

テレホン法話に興味のある方は、下記の番号(正尊寺テレホン法話)へかけて下さい

TEL 0581−34−4242

『 おとりこし 』

本巣市 正尊寺   杉山 雲来


 滋賀県と福井県の県境に山中という言うところがあります。国道一六一号線で湖北マキノ町から長い峠道を上り終えた所で、敦賀市に属します、現在では過疎のため誰も住んでいませんが、かつては愛発(あらち)の関と呼ばれ近江と越前の重要な関所のあったところです。この愛発(あらち)の関には親鸞さまと弥次右衛門との伝承が残っています。
 この伝承は「承元の法難」で親鸞さまが流罪に決まリ、
流罪地である越後に向かう途中通られた愛発(あらち)の関で、足は血塗れになるほどの峠越えで疲れておられた親鸞さまに炭焼き小屋の弥次右衛門が小豆を炊いて差し上げたところ、親鸞さまは大変喜ぱれたというものです。
 このことが伝わリ、今でも、お取越には豆ご飯や小豆を使ったお斎料理の残っている所がたくさんあリます。
 お取越とは親鸞さまのご命日法要を取リ越して、つまリ日にちを早めてお勤めするところから、こう呼ばれるようになりました。親鸞さまのお勧め下さった他カの念仏は単純明解で誰でもどんな境遇でもその救いに預かることができます。しかし、単純明解であリすぎるために私の計らい自カ心によって迷ってしまうことが多くあリます。一年一度のお取越、親鸞さまが他カの念仏とともに貫き通されたご生涯を手本として、私たち今に生きる
ものが同じ歩みをしているのか確認させて頂く目として家族そろいしっかリお荘厳されたお仏壇の前でお勤めしたいものです。


                             合掌