ここでは、住職とその仲間のお寺で運営している「テレホン法話」を掲載しています。法話は一週間ごとに変わっていきます。

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『 世界に誇るホームパーティ 』

  大野町 西光寺   野村 了嗣 師


 カナダにホームステイした学生さんのお話です。そこのおじいさんからYOUの家族の写真見せてくれとたのまれ、持っていった両親と兄弟併せて五人の写真を見せたところ、「YOUの家族たったこれだけ?」とおじいさんは驚き、これがうちの家族だと一枚の写真を見せてくれたそうです。そこには何と数十人が写っていて、これはわしの妹の旦那、これが息子の嫁の両親、これが…と全員おじいさんが写真を指さしながら紹介してくれたそうです。それでその学生さんはあわてて国際電話で「何でもいいからとにかく大勢写ってる写真をすぐ送ってくれ」と家に電話して、家からは二年ほど前に勤めた法事の時の写真が送られてきたそうです。その写真をおじいさんに見せると大変喜ばれ、これは誰?、こちらは誰?と紹介を求められたそうです。これにもまいっちゃいましたというお話でした。
 「アメリカではホームパーティを開いて親睦交流をはかっているところが素晴らしい.・・」などという土産話をよく耳にすることがあります。「いやいや日本だって五百年も前から、それこそアメリカという国の歴史よりもずっと前からホームパーティをやってますよ」と申し上げたら、どう思いますか。
 ウソじゃありません。「法事」というホームパーティを数百年も前から営んできているのです。ただの飲み食いじゃありません。故人を偲びながら、仏法を聴聞して縁有る人同士が親睦を温める崇高なホームパーティ、それが「法事」なのです。これは日本が世界に誇ることのできる文化だと言えましょう。「核家族化」に象徴されるように人間関係を狭めることばかり腐心するのではなく、前述のカナダのおじいさんのようにもっと広く大らかな人間関係を築きたいものです。


                             合掌