『 道綽さま 』

 春日井市 春日井布教所 加藤 礼嗣 師


  宗祖親鸞聖人が選ばれた七高僧のお一人、道綽禅師のお話です。道綽禅師は、戦乱による困窮の時代を生きられたのでした。末法の時代といわれ、仏教の教えはあるが、いかに修行しても、悟りを得ることは不可能な時代とされていました。
道綽禅師は、末法の世だから仕方ないとあきらめるのでなく、末法だからこそ真実の教え、本当に仏道を歩むことができる教えを求めていこうと正面から対決されました。
  ある時、曇鸞大師ゆかりの玄中寺を訪れた時に、曇鸞大師の生涯を讃える碑文を読まれ、感激されたのです。
末法の時代においては、「いつでも、どこでも、だれにでも通ずる道であるお念仏の道」こそ、この時代に生きるすべての人々にふさわしい道であると気づかれ、それまでの自力の道を捨て、本願他力のお念仏の行者となられたのです。人々にも、お念仏をお勧めになられました。
  道綽禅師のおかげによりお念仏は普通の七歳の子供か
ら老人にいたるまで、多くの人々に浸透してゆきました。

  また、著してくださった「安楽集」を著わしてくださり、仏教を浄土門と聖道門の二つに分け、仏教の中において、はじめて、浄土教ということを教えを明らかにされました。
  法然上人が、浄土門独立宣言に引用されましたが、私たち浄土真宗のみ教えをいただくものにとって欠かすことのできない善知識(ぜんぢしき)であります。浄土真宗のみ教えに出遇えたのも道綽禅師のご苦労のお蔭様と有り難く思うことであります。
                               合掌