今からおよそ二六〇〇年前の四月八日、インドの北にあるネパール国との国境に近いルンビニーの花園で、ひとりの可愛い男の子が誕生しました。
この男の子は、北インドにある、カピラという小さいながらも大変栄えている国の王さまスッドーダナとマーヤお妃の間に生まれた長男でした。
つまり、やがて王さまになる王子さまとしての誕生でした。お名前をゴータマ・シッダッタと言います。
シッダッタ太子のご誕生はカピラの国の人々の喜びでしたが、実は世界中の生きとし生けるものすべてのものの喜びでもありました。それは後におさとりを得られ、すべてのいのちを仕合わせにみちびくみ仏さまの教えをお説きになる「ブッダ」になられる方だったからです。
だから言い伝えでは、お誕生の時、空から花と甘露というあまい雨が降ったといわれ、また生まれてすくっと立ち上がり、四方を見渡し、北に七歩あゆんで、右手を上に、左手を下にして「天上天下唯我独尊」と言われたといいます。
これは「すべての『いのち』は平等」。その存在そのものが掛け替えのないいのち。その尊いいのちを、さげすみあってはならない。殺し合ってもならない。お互い支え合い励ましあって生きてゆこう。わたしはそのことを人々に知らせるために生まれてきた」とのお釈迦さまのこころを私たちに気づかせるために、言い伝えられたお話です。
お釈迦さまのお誕生をお祝いする四月八日の「はなまつり」、甘茶をおかけしながらもう一度お釈迦さまのこころを聞いていきましょう。
合掌
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