昨年、あるご門徒さんのお宅に伺ったときのことです。そのお宅では、とても長生きをされたおばあさんが亡くなられたのですが、ご家族の方からこのようなお話を聞かせていただきました。
「うちのおばあさんはとても長生きをして、もうすぐ１００歳になろうとしていました。だから、おばあさんも『あともう少しだから頑張ろう』と言っていたのですが・・・。」
そして続けて話されました。
「後から聞いた話ですが、おばあさんが１００歳まで頑張ろうとしたことの一つには、１００歳になるとお祝い金がもらえるらしく、そのもらったお金を家族にあげたいという思いがあったそうなんです。この話を聞いた時は、おばあさんの気持ちが嬉しくて嬉しくて。」
と、亡くなられたおばあさんを悲しみながらも感謝の気持ちが私にも伝わってくる暖かいお話でした。ご家族の関係も良かったようですから、尚のことその気持ちを大切に受け取られている姿が見えました。そして、「家族のために」、と思っておられたおばあさんの気持ちに、阿弥陀様の建てられたお誓いの「あなたのために」と、この私を救わんがための本願が思い起こされました。
いつも阿弥陀様は私のことを思って下さり、私はいつも阿弥陀様に抱かれているのだと、ひろく大きな心で見守り、私のためにはたらいて下さる阿弥陀様の心を、おばあさんとご家族を通して、改めて感じたことでした。
合掌
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