『 キャベツくん 』

 大垣市 林雙寺    水上 誠孝 師


 皆さんは「キャベツくん」という絵本を読んだことがありますか?作者は長新太さんの絵本で、かれこれ20年ほど前に出された絵本だそうです。
 私は娘が夜寝る前に、本棚にある絵本を適当に選んで毎晩一緒に読んでいるのですが、この本にはビックリさせられました。
 主人公は、ぶたとキャベツくんなのですが、このぶたの名前をブタヤマさんと呼び、キャベツはキャベツくんなのです。ブタヤマさんはお腹がすいているのでキャベツくんを食べようとするのですが、キャベツくんは「僕を食べるとこうなる」と言ってキャベツに変身するのですが、その姿に驚いたブタヤマさんは「ブキャ」と叫ぶのです。それから次々にいろんな物に変身するキャベツくん。そのたびに「ブキャ」とブタヤマさん。
 なんとへんてこなお話だろうと私は読みながら思っていましたが、娘は大喜びです。子どもはお話と絵に対する反応が正直で、どんどん絵本の世界に入り込みました。その後、1週間程、我が家では「ブキャ」が流行りました。仏様にお参りする時も、ご飯を食べる前にも、「ブキャ」でした。
 「ブキャ」じゃなくて「なんまんだぶ」だと、いくら教えても変化無しでした。それでは、私たち親が何かに付けて「ブキャ」と言っていましたら、なんと、娘の方から、「ちがうよ、なんまんだぶやよ」と教えられたことでした。仏様の願いが確実に届いていることにビックリさせられた瞬間でした。この時ばかりは、「ブキャ」ではなく仏様の前で一緒に「なまんだぶ」と大きな声でお念仏申させていただきました。

                              合掌