『 世界の中心で〜 』

       東京 真福寺  南川 浩樹 師


 映画に、テレビに、そして300万部を超える大ベストセラーとなって、今なお大 ヒットを続けている話題の恋愛小説「世界の中心で愛をさけぶ」。この映画版で、とて も印象的なものが、コマーシャルでもモチーフとされた、「助けてください!」と主人公の朔太郎少年が空港で叫ぶシーンです。
  白血病で、もはや一刻の猶予も無い最愛のガールフレンドが夢半ばで病に倒れ、その命を救おうと、まさに「心の叫ぴ」として、フイルムを、スクリーンを、そして私の心をつき動かす、とても感じさせられるものでした。現代を生きる私達にとって、どうしてこの物語が、これほどの感動を与えるのでしょうか。
  私は、このシーンに現れる、「心の叫ぴ」をともに昧合わせてもらえたことが、そのヒントではないかと思います。世問体や、自分の立場などを意識して、自身の心を外に示すことの無い毎日。そんな生き方は、いつの問にか、自身の心をゆがめ、心の病気をも引き起こすのではないでしようか?そして、そうしたき方・人生を、この機会にお念仏を通して、もう」度振り返ってみませんか?
  じつは、私達が耳にする「南無阿弥陀仏」の御六字は、時代を、世代を、立場を超えて私達に届けられる阿弥陀様の
「心の叫び」です。そして、それを聞き、あじわい、その声をわが心に届ける時、本当の感動に白然に心震える私でありたいと思います。

                             合掌