ここでは、住職とその仲間のお寺で運営している「テレホン法話」を掲載しています。法話は一週間ごとに変わっていきます。

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『 涅槃図から思うこと 』

  岐阜市 妙圓寺   佐々木 博 師


 毎年二月十五日は「涅槃会」であります。八十歳に達した釈尊がついに入滅された日として、お寺によっては涅槃図を掛け、法要を営なまれています。
 この涅槃図は、どれを見ても構図は大体決まっており、画面の中央に、右脇を下にして静かに横たわる釈尊が大きく描かれ、その周りを悲しみに満ちた表情の仏弟子や菩薩が取り囲んでいます。さらに画面の下の方には、入滅を悼む動物が描かれています。その動物は巨大な象や、鹿、アリのような小さな昆虫まで、実に多種多様な生物が覆い尽くしています。
 ある日、学生がその涅槃図を見て、あらゆる生き物が嘆き悲しむことなど馬鹿げている、そんなのは作り話だと、笑い飛ばしたそうだ。
 すると、そばにいた老僧が「君はまだ、その人が死ぬと動物たちまでが悲しむようなそんな人に出遇ったことがないんだね」と申されたのです。
 その時は、あまり重く受け止めなかった学生が、歳を重ね、別れを積み重ねて行くにつれ、あの老僧の言葉が身にしみてきますと。
あらゆる動物が慟哭したのは、釈尊の「いのち」に対する思いやりの深さなの反映なのでしょう。
狂牛病だの、鳥インフルェンザなどが発生すると、そのたびに、おびただしい数の動物たちが処分されています。
 釈尊の慈悲に遠く及ぱなくとも、念仏者として手を合わせて行きたいものです。

                             合掌