ここでは、住職とその仲間のお寺で運営している「テレホン法話」を掲載しています。法話は一週間ごとに変わっていきます。
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『 仏様と王様 』
大垣市 縁覚寺 楠 真 師
この世で一番偉い人は誰かと聞かれたら、あなたはどのように答えられますか。例えば、王様と仏様、どっちが偉いか。突拍子も無い質間で少し戸惑われたでしょうか。実は私たちが生きていて、何に重きを置いて生活するかによって、自ずとその答えも違ってくるように思います。どうしてこのような問いかけをしたかといいますと。何を依り所として生きていくかということについて、政治と宗教の関係を少し考えてみたいのです。 太平洋戦争のころの資料を調べてみると、当時は天皇を中心とする国家神適の祭政一致、つまり天皇の宗教的権威と政治的権力が」つになった国家体制でしたから、天皇の位置付けは絶対であったことが分かります。 浄土真宗のある偉いお坊さんは、「天皇が仏に帰せよと仰せになるから天皇の仰せによって仏に帰依し、仏に帰依することより天皇に帰依する。天皇が奥の院である。弥陀がその前にある」と言っています。つまり、最初の間いかけに即して言えば、阿弥陀仏という仏様より天皇の方が偉いということを説いているのです。 軍国主義で政治と宗教が一つになっていた時代であれば、それは当然の如くであって、その頂点に天皇がいたのです。私たち個人のいのちより天皇の方が離いとされた時代でした。 翻って、現在は私たちによって、民主主義政治による、政教分離の原則を守り信教の白由を保障する杜会を作っています。このことの大切さを、あらためて自覚したいと思います。 さて、2500年前の古代のインド、お釈迦様は国王になることを望まず、出家して修行のすえ一人の仏様になられた方です。当時から、政治権カ者である国王は横暴を振るって人々を苦しめていたこともあったようですが、悟りを開いたお釈迦様を尊び、人生の苦悩解決のために、自ら出向いてお釈迦様の説法を聞きに行った王様もいました。政治と宗教、難しい課題ですが、政治の在り様疎かにせず、尚且つ自らの人生の依り所として、 仏法を究極のものとして尊びたいものです。 合掌