ここでは、住職とその仲間のお寺で運営している「テレホン法話」を掲載しています。法話は一週間ごとに変わっていきます。
テレホン法話に興味のある方は、下記の番号(正尊寺テレホン法話)へかけて下さい
TEL 0581−34−4242
『 おみがき 』
本巣市 正尊寺 杉山 雲来
あるお宅へお参りに行った時のことです。 そこはお姑さんが数年前、脳梗塞で倒れられ施設に入っておられます。 もう60に手が届こうという奥さんがお勤めの後、とつとつとお話しを始められました。 「 私が嫁に来た頃、お婆さんはとても厳しく、田んぼや畑の仕事を言いつけられ、ほんの少しの休む時間さえなかった。こうしてお取り越を勤める頃、私が必死に野良仕事をさせられている間に お婆さんは縁側でのんびりお磨きをしている。 ところが、いざお寺さんに来てもらいお勤めとなると、どこかへ行っていなくなる。結局また、私がお茶を出したり、おろうそくを点けたり、こき使われていると思っていた。」 お庫裏さんにお参りに来てもらった時など、腹いせによく愚痴話を聞いてもらったものです。 ところが今は、そのお婆さんも動くことも話すこともできず寝たきり。昨日は、お仏壇からお輪灯をはずし、お磨きをしながら、「何でお仏壇の準備だけをして肝心なお参りの時にはいなくなっていたのだろうか?」 今考えると、「お寺へはなかなかお参りに行かないこの私のために、家での法要の時ぐらいはご縁に遇わすためだったのかなぁ。」 と思われたそうです。 「還相」、仏様の世界からこの私を導くために菩薩となって還ってくる。お磨きという共通の体験をしながら、「このお嫁さんはお姑さんに還相の菩薩を感じられていたのではなかろうか」、とこの話を聞きながら思ったことでありました。 合掌