ここでは、住職とその仲間のお寺で運営している「テレホン法話」を掲載しています。法話は一週間ごとに変わっていきます。

テレホン法話に興味のある方は、下記の番号(正尊寺テレホン法話)へかけて下さい

TEL 0581−34−4242

『 世間のこと、良くも悪くも半分 』

大野町 西光寺   野村 了嗣 師

 

 和国の教主つまり日本のお釈迦様と親鸞聖人がたいへん尊敬された聖徳太子のお言葉に、「世間虚仮、唯仏是真」という一文があります。この世の物事は移ろいゆくもの、仮のものであって絶対と言うことはない。人間のやることに完全ということはない。ただ仏法だけが永遠不変の真実である、と味あわせていただくお言葉であります。
 しかしながら今私たちが生きる場は、この虚仮である世間でしかありません。話を先般の国政選挙に転じてみましょう。「改革」とか「民営化」という言葉が頻繁に飛び交いました。もちろんここではどの立場を支持すると言うお話ではありません。「国営」「民営」どちらが良いか悪いのか、そんなことはその時代その環境で変わるもので常にどちらか一方が必ず良いというものではありません。言ってみればどちらの制度にも長所も有れば短所もあるわけです。ただどの部分の長所が今の時代にどんな理由で求められ、逆にどんな短所が今緊急の問題点なのか、そこが論議のポイントとならなければいけないわけです。
 これは世間つまり私たち人間の営み、作り出す制度あるいは道具、機械それらにはおしなべて当てはまることでありましょう。だからどんな制度にしろハイテクな機械にしろ過剰な期待や信用、惚れ込みはかえって過ちの元となります。マル任せにしないことが大切です。半分良ければ半分悪いくらいに思っているくらいでちょうど良いのです。むしろやたらに長所が語られるときには、その影にある短所が見失われ、あるいは隠蔽される危険さえあります。ムードに流され付和雷同的に行動する。これが最も危ういことです。
 良くも悪くも半分。悪いと言ってもまんざら捨てたものでもないと、物事から少し距離をおいて見る。生きる上での仏教の智恵であります。 

                               合掌