ここでは、住職とその仲間のお寺で運営している「テレホン法話」を掲載しています。法話は一週間ごとに変わっていきます。

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『 ちいさな命 』

揖斐川町 善明寺   徳岡 健秀


 あるご門徒さんのお宅にお参りに行ったときのことです。
普段からにこやかなご夫婦ですが、その日は特ににこにこして私を出迎えてくれました。何かいいことがあったのかなと思って いると、私が座るなり「ごえんさん、今日はとてもいいことがありましてね」とお話を始められました。その目いつものように目を覚ますと、チュンチュンという鳴き声が聞こえたそうです。ああ鳥のひながかえったんだなと、さほど気にもとめずに予約一してあった病院に出かけたそうです。
  ところが病院から帰ってくると、鳴き声のする場所が変わっていて家の下の方から聞こえてきたそうです。
  驚いたご夫婦は、声のする場所を探し始めます。あちこち探した結果どうも部屋と部屋の間の壁の中から聞こえてきたそうです。これはきっと巣から落ちてしまったに違いないと思ったご主人は、奥さんと相談して壁の板をはがすことにしたそうです。 苦労して板をはがすと、その下の方にかえったばかりの雛が落ちていたそうです。ご主人はその雛をそっとすくい上げて助けてあげたそうです。
  この話をご夫婦そろってうれしそうに話す姿を見て私は非常に感動しました。
 雛の命を救うためとはいえ、家の壁板をはがすのは、勇気のいることだと思います。しかもその壁のことを気にもとめずに、ただ雛が助かったとご夫婦そろって喜んでいらっしゃる、私は本当に暖かい気持ちになりました。今、虫の命、動物の命はいうまでもなく、人の命さえも粗末にする事件がたくさん起きています。私はこのご夫婦の姿を見て、あらためて命の大切さを教えられ、そのことを大切に伝えていかなければと思いました。



                             合掌