ここでは、住職とその仲間のお寺で運営している「テレホン法話」を掲載しています。法話は一週間ごとに変わっていきます。

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『 ねんごろに 』

池田町 浄妙寺   野村 法宏  師


 

 親鸞聖人のご著書『教行信証』にいう「行」とはお念仏のことですが、鈴木大拙という偉いお坊さんはその「行」をリビングと英訳されました。つまり、お念仏とは私の生活そのものだということです。日本語で言うと難しいのですが、英語に訳してみると意外と身近に感じることができる場合があるといいますが、まさになるほどとうなずかされます。
 親鸞聖人は、お念仏に生きる人の生き様を「信心定まりなば……いよいよ願力を仰ぎまいらせば、自然のことわりにて柔和・忍辱のこころも出でくべし」(八四九頁)とか「ともの同朋にも、ねんごろにこころのおはしましあはばこそ」(七四二頁)などと示されています。
 ご本願を信じお念仏を申す人生を送ることで、自然に柔和な忍耐強い心が生まれ、まわりに対しても「ねんごろに」接していける。これが親鸞聖人がお示し下さった念仏者の生き様です。大切なことは、ここにいう「まわり」とは、人間以外の生き物や自然、子や孫たちも含まれているということだと思います。
 今年、いよいよ京都議定書が発効されました。世界規模の気侯変動を引き起こす地球温暖化を抑制するために各国が話し合い協カするという試みです。この京都議定書が守られても温暖化のスピードを緩めることができるだけとされています。しかし、結果云々よりも、今、私がどの方向に歩みを進めていくのかが問われるのではないでしょうか。
 親鸞聖人お示しの、まわりにも「ねんごろに」接する、これこそが私の生活そのものとなる、そうなりたいなあと思います。

                               合掌