ここでは、住職とその仲間のお寺で運営している「テレホン法話」を掲載しています。法話は一週間ごとに変わっていきます。
テレホン法話に興味のある方は、下記の番号(正尊寺テレホン法話)へかけて下さい
TEL 0581−34−4242
『 ご恩が身に染まる 』
本巣市 正尊寺 鈴木 一生
こんなことがありました。 天気が良い休日、運動不足解消にと自転車で遠出をすることにしました。昼食を買いに立ち寄ったお店で、パンとジュースを手に持ってレジに行くと、「お兄さん、あんな自転車乗ってどこいくの?」とレジのおばあさんが外にある私の自転車と格好を見て聞いてきたのでしばらく会話をすると、「頑張ってね」とおばあさんがおまけで最中をくれました。お礼を言い、お店を出てしばらくしてから昼食を取り、おばあさんに貰った最中を食べようと思うのですが、日中の暑さ・強い日差しで汗をかき、喉も渇いている状態ではとても食べることができませんでした。おまけに「洋菓子とかなら食べれたのになぁ…」と、ついつい不満が出てしまい、とりあえずそのままリュックの中へしまって道中を急ぐことにしました。 そして、山や峠をいくつも超えて、何とか目的地まで着くことができ、ホッとしながらの帰り道。家まであと半分もない距離になると、エネルギー不足で自転車をこぐことができなくなりました。近くにはお店もなく、持っていた飲み物もすでになく、困り果てていたところ、食べられずに残してあった最中を思い出し、迷わず食べました。何ともおいしい最中でした。お陰でお腹の減りも満たされ元気を取り戻し家に向かって帰りながら、「おばあさんがせっかくくれたのに私は不満を言ってしまって…」、と、おまけの最中に助けられた私は申し訳ないとおばあさんに感謝するばかりでした。 思い返してみれば、日常でいろんなご恩を頂いています。ご恩に大きい小さいなど関係ないのですが、些細なことだとないがしろにしてしまいます。しかし、どんなに小さくてもご恩は頂いている、そして、様々な人に助けられているご縁のあり方を身に染みて感じたことでした。 合掌