ここでは、住職とその仲間のお寺で運営している「テレホン法話」を掲載しています。法話は一週間ごとに変わっていきます。

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『 両足尊A 』

関市 光圓寺   日野 安晃 師

 

 両足尊とは、地位や名誉や財産、家族など世俗の何ものをも頼りにすることなく、自分さえも法の前に虚しくされ、智慧と慈悲とでもって立たれた仏さまを讃えた言葉であります。
  その仏さまが、ナンマンダブツ、死ぬんじゃない、わが国に生まれんと思え、と喚んで下さるとはどういうことなのでしょうか? 私の尊敬するある和上さんの言葉を紹介させてください。
  「お浄土なんてあるんですか?」という問いが一番つまらん問いだナ。あるかないかじゃない、お前はどうするのか、どうしたいのか、ということでしょう。
  仏教では過去から未来へ向かって流れる時間と、未来から過去に向かって流れる時間とを言うけれども、これは時間に実体がないということなんだナ、それで、そうそう未来から過去に向かって流れる時間はデート・・・。恋人がやってくるのは未来だけど、待つ間もなんやかんやと楽しいもんだ。過去から未来へ向かって流れる時間を生きているのは犯罪者だろうナ。自分の犯した過去の罪に追いかけられて、行動がだいぶ制限されまっせ。後悔にしろ反省にしろ、また居直ってみたところでつまらんもんだ。時間は使われるのではなく使わなあかんということだナ。
  浄土真宗は未来を現在化する宗教。ご本願をいただいた(念仏申す)者は、楽しいだろうナ。過去を怨まず憎まず、あの苦労があったればこそと、今を喜べる。恋人が来るまでの時間が虚しく過ぎるということはないのだから・・・。
  とても短いスペースでは紹介しきれませんが、喜寿を迎え、飄々と語る和上のお姿と相まって忘れられないお言葉となりました。





                               合掌