ここでは、住職とその仲間のお寺で運営している「テレホン法話」を掲載しています。法話は一週間ごとに変わっていきます。
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『 信号機 』
岐阜市 正蓮寺 鷲岡 護 師
「青い花には青い光が、黄色い花には黄の光が、赤い花には赤い花が、それぞれ清らかに美しく香り立っている。」 お経様には、お浄土のお姿が、そう述べられています。娑婆とちがって、お浄土はすべてのいのちが、それぞれに輝くことができる世界なのです。 私たちの世界でも、最近、個性を尊重し、多様性を認めようという声をよく耳にします。 「世界に一つだけの花」 「みんなちがってみんないい。」 流行の、これらのことばは、殺伐とした競争社会の中でもがく私たちを、やさしく潤してくれているようです。そんな世相ですが、すこし穿ったものの見方をしてみたいと思います。私たちは、心底、ほんとうに、自分以外のものを認めることができるのでしょうか? 信号機は、赤・青・黄色、それぞれの色がそれぞれの主張をしています。 「止まれ」「進んでよし」「注意」。同時に輝くことがないので、混乱は起きませんが、それぞれの主張を同時に認めるとなると、大変です。信号機についていえば、赤・青・黄色が同時に輝くことは認められていないのです。 「世界に一つだけの花」が「みん なちがっていい。」といいのですが、現実は、せめぎ合いの中で、自己主張と我慢のバランスをとりながら混沌としているのが娑婆の世界です。 私の利己的な輝きは、他を受付ないばかりか、時に、他を平気で傷つけているのです。 お浄土の花が、それぞれの色に香り立つことができるのは、その輝きが、そのまま、他を照らす光だからでしょう。それは、ほとけさまの慈しみのおこころ、慈悲の輝きそのものです。
合掌