ここでは、住職とその仲間のお寺で運営している「テレホン法話」を掲載しています。法話は一週間ごとに変わっていきます。

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TEL 0581−34−4242

『 落とし穴 』

揖斐川町 善明寺  徳岡 健秀

 
  子供の絵本にこんなお話が載っていました。主人公は猫でその猫には狸、豚、ウサギの3兄弟、熊の友達がいました。ある日猫は、落とし穴のいたずらを思いつき穴を掘ります。ある程度掘ったところで考えます。(これぐらい掘れば狸くんは落とせるぞ。でも豚君にはまだ小さいなー)とまた掘り出します。しばらく掘って(これで豚君も大丈夫だ。でもウサギさん3兄弟には狭いかも)とまた掘り出します。(熊君は相当大きいぞがんばってほらなくっちゃ)とどんどん掘ります。そしてついに大きな落とし穴が掘りあがりました。猫は(これで誰がきても落っこちるぞ)と穴から出ようとした時大変なことに気づきました。夢中で穴を掘っていたので自分が掘った穴から出られなくなっていたというお話でした。
 私たちの欲望には限りがありません。「足ることをしれ」という言葉がありますが、私たちは身の回りの恵みに気づくことなく、あれがほしいこれがほしい、ああなればいいのにこうなればいいのに、と不平不満を口にしながら自分の作った欲望の落とし穴から抜け出せずに生活を送っています。「人身受けがたし、今すでに受く。仏法聞き難し、今すでに聞く。」と礼讃文にあるように、今自分がどれほど多くのご縁と恵みを受けているのかをあじあわさせていただくことが、今の私たちにもっとも大切なことではないでしょうか。


                               合掌