ここでは、住職とその仲間のお寺で運営している「テレホン法話」を掲載しています。法話は一週間ごとに変わっていきます。

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『 「きく」こと難し 』

池田町 浄妙寺   野村 法宏 師

 
  「浄土真宗は、お聴聞に極まる」と言います。きくこと、わざわざ取り立てて言うほどのことかなと思いますが、このことができないでいる私がいるので、わざわざ「浄土真宗は、お聴聞に極まる」と、先人は言い残して下さったのでしょう。
 振り返ってみますと、お念仏のみ教えをきくことはおろか、家族の、まわりの人にさえ耳を傾けていない、これが私の姿ではないでしょうか。京都大学霊長類研究所の正高先生は「幼少期に大切なことは、人のお話を聞く力を身につけること、これが基本ですべてです」と話されました。そう言えば、話すことよりも、聞くことのほうが難しいとかんじること、よくありますねえ。

 親鸞聖人はご和讃で

 善知識にあふことも
  をしふることもまたかたし
  よくきくこともかたければ
  信ずることもなほかたし

とお示し下さいました。ここで言われた「よくきくこともかたければ」のお心は、私のはからいやうぬぼれを交えた上でさえ聞くことが難しいということにとどまらず、疑いの心を除いて素直に「きく」ことは更に難しいということです。
 幼な子が人のお話を聞くとは、私に届くお話を疑ったり邪魔したりするものが無く聞き入れることができることなのです。私にもあったんです、そんな時期が。
 お念仏は、師や先輩からきかせていただきこととから出発します。毎日毎日、その時その時が出発地点です。


                               合掌