ここでは、住職とその仲間のお寺で運営している「テレホン法話」を掲載しています。法話は一週間ごとに変わっていきます。

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TEL 0581−34−4242

『 おもちゃ 』

揖斐川町 善明寺  徳岡 健秀

 
  ある研修会でこんな話を聞かせていただきました。あるお寺の若さんが大学から自坊に帰ってきたそうです。浄土真宗を学び、ご門徒の方々にその教えを伝えようと張り切ってお参りに出かけたそうです。
  お家についてお勤めをしようとお仏壇に向かうと、阿弥陀さま以外に宗旨の違った仏様やお札が安置されていたそうです。それを見た若さんは、「浄土真宗は阿弥陀さま一仏でいいんです。これらは必要ありません。」といってお寺に持ち帰ったそうです。
  しばらくするとその家の地区の世話役さんが若さんを訪ねてきました。そしてこんな質問をします。
「若さん、おもちゃで遊んでいる子供のおもちゃを取り上げたらどうなりますか?」
若さんが答えます。「そら泣き出すに決まっていますよ」
続いて質問します。「それではその子供を泣きやますのにはどうすればいいと思いますか?」若さんは答えに詰まりました。
  すると世話役さんが「子供を泣きやますにはその子が遊んでいたおもちゃよりもっといいおもちゃを与えれば泣きやむと思います。それと同じように宗旨が違うからといってただ取り上げるのではなくて、そのようなものに頼らなくてもいい阿弥陀様のすばらしいお救いがあることを伝え、安心を伝える。そのことができたら、門徒自らほかの仏様や、お札を手放すと思いますよ。」話されたそうです。
  北風と太陽のような話ですが、私自身にいわれている気がしました。私も普段「あれはだめ、これはだめ、浄土真宗ではそんなこといわない」など取り上げることばかりしてきたように思います。これからは、取り上げる前に、伝えることを忘れないようにしていこうと思いました。


                               合掌