ここでは、住職とその仲間のお寺で運営している「テレホン法話」を掲載しています。法話は一週間ごとに変わっていきます。

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『 法尊きが故に人尊し 1 』

池田町 浄妙寺    野村 法宏 師

 

 今年も出会いと別れの季節がやってきました。この時期のハイライトのひとつに卒業式があります。
 卒業式は遥かかなた遠い思い出という人生の大先輩・卒業式はついこの間のことと意気込む世代・卒業式、私達が大騒ぎしてさぁという世代、いずれの世代のご人も、卒業ソングといえば迷わず「仰げば尊し」と思いきや、そうでもないようです。
最近では、師を仰げとは強制できない、また歌詞の中には身を立て名を上げと立身出世主義を煽るような言葉があるという理由などから、この曲を歌わない学校が増えたと言います。
 しかし、広島県の高校では校長先生が、師は教師だけではない。生徒から教師が学ぶことだってあったはず、と説明し、復活したそうです。
 式では、歌の途中で涙をおさえきれなくなった生徒も多く、私たちの心を揺らす独特の魅力を備えた曲と言えるのでしょう。
私なんかは、「思えばいととし」とか「わかれめ」など、それまでのわずかな知識を総動員しても意味が分からず、ちんぷんかんぷんなままでした。
 ただ、師の恩に感謝するということだけは、感じていたように思います。
 ところで、私たち現代人は、仰ぐということを忘れてはいないでしょうか。科学的とか合理的なことが最優先され、誰かまたは何かに大きな影響を受けたというような関係が希薄になってきた、その結果 何かを仰ぐということも少なくなった そんな気がします。
 振り返って私たちのご開山親鸞聖人は、「たとい法然上人にすかされまいらせて念仏して地獄に落ちたりともさらに後悔すべからず候」と述べ、法然聖人を心の底から師と仰いでおられました。
そのお心を次回にお尋ねしたいと思います。
                            合掌