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『 積もった雪 』

岐阜市 妙圓寺    佐々木 博 師

 天気予報では、今年の冬は暖冬の見込みですと。実際は雪の日が多く、暖冬じゃなく冷冬だという声が聞こえてきました。
さて、何気なく新聞を見ていますと、金子みすずさんの「積もった雪」という詩が掲載されていました。

積もった雪
上の雪 寒かろうな 冷たい月がさしていて
下の雪 重かろうな 何百人ものせていて
中の雪 寂しかろうな 空も地面も見えないで

 私は、この詩を見て考えさせられました。
 雪が降り始めると「いやだな−、また雪が降ってきた、明日は積もるな、明日の朝は雪かき、出かけるのには早起きしなければ、早く止まないかな、めんどくさいな−」と愚痴ばかりがこぼれてきます。 その思いと、金子みすずさんの詩と比べてみたとき、私は雪そのものを見ずに、私の都合ばかり見ていたことに気づかせていただきました。
上の雪が寒いとは思いません。私が寒いのです。雪の上を歩くのに雪が重かろうと思えず、歩きにくい道だと文句を言っています。
 雪が降り出したという出発点は同じでも、金子みすずさんは雪そのものを見、私は雪を見ずに、私の都合ばかり見ていたのです。
 正信偈の中に、煩悩障眼雖不見、大悲無倦常照我とお示し下さっています。
 私の都合でものを見てしまうことが、如何に本当のものが見えなくなっていたかを考えさせられました。



                            合掌