ここでは、住職とその仲間のお寺で運営している「テレホン法話」を掲載しています。法話は一週間ごとに変わっていきます。

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『 お念仏と挨拶 』

本巣市 正尊寺    鈴木 一生

 

 みなさんはお仏壇の前に座ると、どうしますか?両手を合わせて「なまんだぶ、なまんだぶ」と、自然とお念仏を称えると思います。
 以前、私が学生の時にこんなことがありました。朝早くに眠たいのを我慢して本堂の掃除を終えて、お勤めを始めようとして座って両手を合わせたところ、私の口から出てきたのは「おはようございます、おはようございます・・・」とお念仏ではなく、朝の挨拶でした。すぐに気付いて「なまんだぶ」と称えたのですが、「おはようございます」と言うのもこれはこれでおかしくはないのでは?と思ったのです。
 その後の講義で、「罪深い凡夫である私たちは何一つ満足に厳しい修行を達成することができず、地獄しか行き所がありません。そんな私たちのために、阿弥陀様は私たちを救うためのおはたらきが具わった『南無阿弥陀仏』のお念仏を称えなさいと勧めて下さっています。」と教わりました。そして、このお念仏を称えることで、こんな私を救っていただけるのですから、ありがたいことだと感謝の気持ちが湧いてきたのでした。
 ですから、そのような阿弥陀様に対して「おはようございます。おやすみなさい。」と感謝の気持ちで挨拶をすることも、また、挨拶の気持ちを込めたお念仏も、おかしいことではないと思えたのです。
 しかし、次の日になってみれば、挨拶をしているという自覚すらなかったことを後になって思い出しました。自分の親に対してなかなか素直に「ありがとう」と言えないように、心のこもったお念仏すら満足にできない私たちではありますが、両手を合わせ、ただお念仏を称えるのではなく、お念仏に込められた仏様の願いを聞こうとする姿勢が大切なのだと、改めて感じさせられたのでした。
                            合掌