ここでは、住職とその仲間のお寺で運営している「テレホン法話」を掲載しています。法話は一週間ごとに変わっていきます。

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『 思いやり 』

本巣市 正尊寺  鈴木 一生


  お定飯に行った時のことです。あるご門徒さんのお家へ上がると、いつもはお婆さんだけなのですが、その日は孫娘さんも仕事の休みがお定飯と重なったのでお参りに来てくれていました。
 お勤めを終えてから話をしていますと、お婆さんは「こんな私でも大事にしてくれる。」、お孫さんは「そんなの当たり前のことじゃない。」といった言葉が恥ずかしがることも無く、さらさらっと出てきます。そんな会話から、とても仲の良い二人の思いやる様子が伺えました。こういう時って、聞いていて気持ちの良いものです。思わず私も顔がほころびました。
 こういう状況ですと、「とても思いやりのある優しい言葉」と思えるのですが、よくある親子の会話では、子供が「僕はこれがしたい」と言うと、親は「それは駄目だ」。と、一方的に反対しているようで、実は子供のためを思って厳しく言っていることもあります。
 お釈迦様はお話をされる時、なごやかな顔でその人の思いを汲みながら、その人のためになる優しい言葉で話されていました。厳しい言葉であっても、落ち着いて丁寧に話されたことでしょう。
「思いやり」と聞くと「優しさ」が連想され、そして「自分にとって都合の良い事をしてくれること」というような思いになりがちですが、「優しさ」は「甘い言葉」ではありません。自分本位に捉えていて、その思いの本質に気付けなくなっていないでしょうか? 言葉も大切ですが、言葉に含められたその思いをもっと大切にしなければと、感じさせられたことでした。


                               合掌