ここでは、住職とその仲間のお寺で運営している「テレホン法話」を掲載しています。法話は一週間ごとに変わっていきます。

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『 言うことを聞きなさい 』

岐阜市 正蓮寺  鷲岡 護 師


 
 こどもの頃のこと。
夏の暑い日、外へ遊びに行こうとすると、必ず祖母は、
「帽子をかぶっていきなさい。」
と、帽子を差し出しました。そう言われても、すでに、頭の中は遊びのことで
いっぱいです。気もそぞろに生返事だけして、飛び出していくのが常でした。実際のところ、あまり帽子をかぶった記憶はありません。
そのたびに、
「ちゃんと言うことを聞きなさい。」
と、あらためて叱られたものです。
 さて、『言うことを聞く』とは、どういうことなのでしょうか。
 例えば、"帽子をかぶりなさい。”という祖母の声は、ちゃんと聞こえていました。返事もしています。でも、それは、”言うことを聞いた"ことにはなっていません。とにかく、帽子をかぶってはじめて、”言うことを聞いた"ことになるのです。さらに厳密に言うなら、”日差しが強いから、帽子をかぶって気をつけなさい。”
と願う祖母の願いを聞いて、その願いに叶ってこそ、”言うことを聞いた”と言えるのです。
 言うことを聞くとは、願いを聞くと言うことなのです。
 では、阿弥陀さまの願いを聞くとはどういうことなのでしょうか。
 阿弥陀さまは、わたしに「救うぞ」「わが名を呼べよ」と呼びかけてくださいます。その呼び声を、お名号・「南無阿弥陀仏」といいます。たしかなお慈悲を、わたしのためとよろこび、お念仏を称えるとき、わたしは阿弥陀さまの願い、南無阿弥陀仏の呼び声を聞いたというのです。
 親鸞聖人は、聞くということを、
「仏願の生起本末を聞きて、疑心あること無し」とお示しくださっています。
阿弥陀さまのお慈悲のおいわれを、わたしのためと疑わないこと、それが聞くということなのです。
 理性や教養や世間の道理で、ほとけさまの声を聞こうとしていませんか?
 お念仏申しましょう。




                               合掌