ここでは、住職とその仲間のお寺で運営している「テレホン法話」を掲載しています。法話は一週間ごとに変わっていきます。

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『 曇鸞大師 C 』

関市 光圓寺  日野 安晃 師

 

 菩提流支三蔵より『観経』を授けられ、阿弥陀仏のご本願を仰ぐ、お念仏者となられた曇鸞大師は、天親菩薩の『浄土論』を註釈された『往生論註』を著し、初めて「他力」という言葉を用いられて仏さまのお徳を讃嘆されました。
 お浄土を、仏さまの願い(本願)に報いるものとして、単に有るとか無いとか論じるのではなく、仏さまの働きと味わわれ、お 浄土に往くのも、仏となって還って来ることも、すべては仏さまのお計らい(=他力)であり、いま私が仏さまを信ずる心までも が実は仏さまのお働きである、とよろこばれたのです。このように、仏さまをお働きとして捉えさせていただくと、仏さまがいっそう身近に感じられないでしょうか。
 ふつう「信心」というと、「信心する」という言い方があるように、「信じる]疑わない」という私の側の心構えのように受け取られがちですが、この「疑わない」という力みは、「信じたい」という私の願いであり、私の願いであるからには、どこまでいっても不安や恐れをまぬがれることはできません。ところが、「信心」を「疑いのない心」といただくと、そこには仏さまの願い、お働きしかありません。だからこそ、これが、お浄土に生まれることがまさしく定まった証であると喜ばれたのです。

 疑わない、と疑いがない。

 仏さまのお働きを実感した者は必ず後者になります。
 ところで、「他力本願」というと、たとえば、自らはなにもせず他人を当てにすることのように用いられていますが、他力とは他人の力ではなく仏さまのお働きのことですから、ちょっと注意が必要です。
 大切なところですので、次回も、お聞きいただけるとありがたいです。




                               合掌