ここでは、住職とその仲間のお寺で運営している「テレホン法話」を掲載しています。法話は一週間ごとに変わっていきます。

テレホン法話に興味のある方は、下記の番号(正尊寺テレホン法話)へかけて下さい

TEL 0581−34−4242

『 特別なこと 』

揖斐川町 善明寺  徳岡 健秀

 

 あるご門徒さんのお家にご法事に伺いました。すると私の目の前に一人のおばあさんが座られました。コンサートやお芝居なら一番前の席が人気があるのに、お寺の法座や法事は前の席が人気がないなーと思っていたので、うれしいことだなと思ってお話をさせていただいていました。
  そしてお勤めをさせていだだこうとお内佛の前に移動すると、そのおばあさんも私のすぐ後ろに移動されました。そして独り言のように「ああこれからお勤めや、命がけでお勤めさせてもらわな」とつぶやかれました。私はその言葉を聞いて、感銘を受けると同時に自分が恥ずかしくなりました。
  私は僧侶として生活をさせていただき、何度となくお経を唱えさせていただきましたが、命がけのお勤めがあったかと尋ねられると正直思い当たりません。お釈迦様が命がけで求め、そしてお説きくださったお経、そしてその中に説かれている、これまた命がけで私を救おうとしてくださっている阿弥陀様、毎日の慣れの中でそんなことを思わずにお勤めをしている自分自身の姿を映し出されたようでした。
  毎日起こるいろいろな出来事その一つ一つが特別で、毎日何度となく出てくださるお経、お念仏一回一回が特別なんだと言うことを肝に銘じた一日でした。




                               合掌