ここでは、住職とその仲間のお寺で運営している「テレホン法話」を掲載しています。法話は一週間ごとに変わっていきます。

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『 連続無窮 A 』

池田町 浄妙寺  野村 法宏 師

 

 前回は、「砂畑の松」について、そのいわれなどをお話いたしました。その続きです。
 この松も時代には勝てませんでした。戦時中、焚き物として、また、松根油を採る資材として、いとも簡単に切り倒されてしまいました。このおじいさんにとって松の木は、故郷・砂畑そのものだったのでしょう、戦後半世紀を過ぎた今でも、残念がってお話をして下さいます。
 そして、松の木を大切に守ってきたことと同じように、この村は、ずうつと昔から、村をあげてお念仏を喜びその喜びを伝えてきた村でもあるのです。それは、先に生まれたお方がお念仏を喜んでおられた、そのお姿が人としての喜びそのものだった、また、お念仏を拠り所にまとまってきたからこそわずか十数戸の村が存続してきた、と教えて下さることからもうかがえます。 このおじいさん、「先ずは、ナンマンダブツ」が口癖です。
  長い時間を生きてこられた経験豊かなお年寄りから、聞く耳さえもてばたくさんのことがわかってきます。そうそう、「亀の甲より年の功」と言って、お年寄りを大切にして、そこからいろいろなことを学んでいこうとする習慣が目本には昔からあつたんです。
 同じような伝統は、世界各地にあるようです。アフリカのギニアから大使として目本にきたオスマン・サンコンさんは、ギニアの昔からの言い伝えとして「一人のお年寄りが亡くなることは、図書館が一つなくなることと同じ」と紹介されました。う〜ん、なるほど。
 私たちのご開山.親鸞聖人もその著書の中で「前(さき)に生れんものは後(のち)を導き、後に生れんひとは前を訪(とぶら)へ、連続無窮にして、願はくは休止(くし)せざらしめんと欲す」とお示し下さいました。よくよく味わってみたいですね。




                               合掌