ここでは、住職とその仲間のお寺で運営している「テレホン法話」を掲載しています。法話は一週間ごとに変わっていきます。

テレホン法話に興味のある方は、下記の番号(正尊寺テレホン法話)へかけて下さい

TEL 0581−34−4242

『 大きな手のなか 』

本巣市 正尊寺  杉山 雲来

 

 ご門徒の奥さんで東北地方から嫁いでこられた方があります。ご実家は曹洞宗、実家のお母さんは真言宗の家の出身、ご本人は十字架のかかった礼拝堂のあるミッション系の学校を卒業され、嫁に来るまで浄土真宗とはまったく縁がなかったとのこと。
 あるとき「たまたまのご縁でこの地に来て、お寺の本堂へあがるようになり、ご本尊に手を合わせようになり、何かしらだんだんと阿弥陀様の大きな手の中にいる、安らぎを感じるようになりました」と話してくださいました。
 この話を聞き、とても嬉しくなりました。ともすると日本の宗教観、とくに仏教の場合、家が真宗だとか、禅宗だとか、お念珠や焼香の回数の違いなどを問題にするだけで、その教えや救いについてはあんがい無関心の方が多いように思います。
 この奥さんは、祈りを捧げ神仏にお願いをする宗教と、こちらが願おうが願うまいが、この私を救わずにはおかないと立ち上がり、前屈みにまで成っていて下さる阿弥陀様をご本尊とする浄土真宗の違いを感じられるようになられたのです。
 阿弥陀様はこの私を救いたいと、仏さまになられた存在で、ああしなさいこうしなさいという条件を一切つけることなく、この私に働き続けておられる。その働きに気づくか気づかないかでは、私の人生の方向は大きく変わるのです。
 せっかく人間として生まれてきたのです、手を合わせその働きに、「南無阿弥陀仏」とお礼を言いながら、この人生確かな方向へ歩んでいきたいものです。




                               合掌