ここでは、住職とその仲間のお寺で運営している「テレホン法話」を掲載しています。法話は一週間ごとに変わっていきます。

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『 連続無窮 @ 』

池田町 浄妙寺  野村 法宏 師

 

 ここは池田町砂畑といい、私の住む白烏から北へ一キロほどにある、戸数わずか十七の小さな小さな村であります。東には揖斐川が流れ、明治時代に本格的な堤防が築かれるまでは、何度も何度も水害に遭ってきたところです。ここに住むご門徒のおじいさんから聞きました。
 私の小さい頃、村の入り口には、子どもが六人も七人もかからないと一回りできない、そんな大きな松の木がありました。いつの頃からあるか、当時の故老に訪ねても、「ずうっと昔からこのまんまの大きさじゃ、と伝えられている」というほどだったそうです。
 いつ、だれが、何のために植えた松なのか、定かではありませんが、繰り返し水害に遵ってきた先人の知恵がなしたワザのようです。
 水害で家ごと、いや、村ごとごっそり流されてしまい、我が家、我が村がどこかわからなくなつてしまうことを繰り返しているうちに、松の木をこの村の目印・シンボルとしよう。松の木は、寒さにも日照りにも水にも強い、そんな強靭な松の木を、ということだつたそうです。我が家が流れても、我が村が流れても、この松の木を目印に帰ろう、そんな思いが込められたシンボルとして、また、道行く人の道しるべとして在り続けたのです。
それが証拠に、この辺りを描いた数百年前の地図にも、「砂畑の松」として記されているそうです。
 この続きは次回にということにいたしましよう。




                               合掌