ここでは、住職とその仲間のお寺で運営している「テレホン法話」を掲載しています。法話は一週間ごとに変わっていきます。

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『 お同行勤めの誇り 』

大野町  西光寺    野村 了嗣 師

 

 浄土真宗では、「お通夜」のお勤めとして親鸞聖人がお書きになられた正信偈を集い会ったお同行、
つまり門徒を中心としてお勤めする習わしが伝えられています。
 お同行が中心となってお勤めするので、「お同行勤め」と呼ばれています。もちろんお仏壇の前でチ〜ンと
鉦を打って、「帰命無量寿如来・・」と最初の読み始めの句を唱える役、
この役は声を調える意味で「調声」と言いますが、これも、お坊さんではなくお同行が勤めます。              
 こんなお話を聞かせてもらいました。それは名古屋であったお話です。おじいさんが亡くなられてお通夜を勤める
ことになりました、ところが誰もお経を読めません。そんなとき唯一人だけ、近所のお寺の日曜学校へ通っていた
小学生のお孫さんだけがお経を読めることがわかり、そのお孫さんが調声を勤めて無事お通夜を終えたそうです。
お婆さんが泣いて喜ばれたとのことでした。              
 浄土真宗では、おつき合いのあった人が亡くなったとき、その死を悼んで集い会った仲間がともに念仏し、
ともに正信偈をお勤めして先立った故人を送るという、麗しい習慣が伝統となって根付きました。
 お坊さんの専門家としての俗に言う「聞かせるお経」も大切だとは思いますが、故人と旧交のあった人々がお勤め
する「お同行勤め」は、これまたひと味違った信仰の温もりが伝わる、在家仏教としての浄土真宗ならではの良さ
があります。
 ところが近年、特に都市部では集い会っても誰もお経を読めないとか、餅は餅屋でお経はお坊さんという傾向が見
られ、中には「お同行勤め」ではお通夜に来てもらった人にケチったと思われ失礼だ、などと信仰本来の趣旨を
見失ってとんでもない思い違いをしている人もあるようです。 
 私たちはもう一度、「御同行、御同朋」という親鸞聖人のお示しいただいた信仰の原点に戻って、 この誇りある
「お同行勤め」という習慣を後々に伝える努力が必要です。



                            合掌