ここでは、住職とその仲間のお寺で運営している「テレホン法話」を掲載しています。法話は一週間ごとに変わっていきます。
テレホン法話に興味のある方は、下記の番号(正尊寺テレホン法話)へかけて下さい
TEL 0581−34−4242
『 耳を澄ませよう 』
大野町 西光寺 野村 了嗣 師
私の寺は田園地帯のまっただ中にあります。昔町から来た友人が泊まっていった時、「あまりに夜音がないから 不気味だった」と言いました。 もちろん音は有ります。梅雨時など蛙の「ギャァギャァ」が馴れない人にはけっこううるさい程です。逆に私など 大型ショッピングセンターやレジャーランドの音響なんかはもうちょっとなんとかならないものかと思います。 しょっちゅう何かの音楽やそこのテーマソングなんかが、かなりのボリュームで流れていて非常にうるさく感じら れます。 数年前の日米野球では、いわゆる『鳴り物』を禁止したので、あのカーンという打球音が新鮮に聞こえ、 ピッチャーとバッターの真剣勝負の息づかいも感じられる静寂の間があって、メジャー一流のプレイもさること ながら野球本来の醍醐味を味わうことができた、という意見がよく聞かれました。それ程逆に日本のプロ野球では、 選手の一流のプレイを観戦するということから離れたドンチャン騒ぎがスタンドの昨今のありようとなっていた、 ということでありましょう。 かって憧れの花のパリへ旅行した人が、「パリへ行ったけど、いっこう街角にシャンソンが流れていなかった」と 少々残念そうに語られたという逸話があります。おそらく出発前に何度もご覧になったPRテープそのままのパリ を期待されていたのでしょう。東京の街角に東京音頭が流れているわけではありません。 昨今、過剰とも言える演出音に世の中溢れかえっていて、本来の音に逆に鈍感になっているのではないでしょうか。 人工音や演出音に馴らされていて、危険な「時代の足音」に鈍感になってしまっているのは、たいへん危ういこと ではありませんか。 合掌