ここでは、住職とその仲間のお寺で運営している「テレホン法話」を掲載しています。法話は一週間ごとに変わっていきます。

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『 いのちを大切に! 』

岐阜市  超宗寺    鷲見 充晃 師

 

 昨年の夏休み、家族で大滝鍾乳洞の「つりぼり」に行ったときの話です。わが子2人は、初めて体験 にわくわくしながら、竹に針と糸といった簡単な竿を2本借り、餌を付けていけすの中に糸を垂らしま した。すると、10秒もたたぬまに食いついてきました。魚はニジマス。俗に言う「入れ食い」状態。
 瞬く間に10匹が釣れました。ここでは、釣れた魚をその揚で焼いて食べることができます。が、その前に魚をさばかなければなりません。跳ね回る魚を押さえつけ、腹に包丁を入れます。内臓を引きちぎるように取り去り、次は串刺しです。背骨を巻くように串をさし、火にかけます。この一連の流れを、 子どもたちは、「うえ〜」と言いながら真剣な眼差しで見ていました。
 今、学校では「食育」といって、食べ物の成り立ちや環境などを学びましょうということが言われています。昔は、自分たちで手間隙かけて膏てた季節毎の食材が食卓に並びました。今は、季節感もなくすべてのものがスーパーで揃います。すべてお金との交換で、物扱い。家庭のまな板の上に、生きた魚がのることも無く、さばかれることもありません。だから、「食育」といってわざわざ教えなければならないのです。
 最近、色々な事件が相次ぐせいか、やたらと「いのちを大切に!」と言われます。いいことのようですが、じゃあ実際出来るかというと、ゴキブリをみれば有無を言わさずはたいています百蚊も血を吸う吸わず関係なく、ぶ〜んと来た瞬間パチンとします。自分にとって都合にいいものは大切にできますが、そうでないものは平気で命を絶ちます。こういったいのちの犠牲も含めて、わたしのこのいのちが成り立っているのです。このことを考えたとき、慎みと慈しみ、感謝と慚愧の上で、いのちの大切さを考えるべきではないでしょうか?



                            合掌