ここでは、住職とその仲間のお寺で運営している「テレホン法話」を掲載しています。法話は一週間ごとに変わっていきます。

テレホン法話に興味のある方は、下記の番号(正尊寺テレホン法話)へかけて下さい

TEL 0581−34−4242

『 水 』

揖斐川町  善明寺    徳岡 健秀

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 ある日水槽の中で泳いでいる金魚を見ながら、私たちは水の中では生きていけないなとばかげたことを考えていました。水は、私たちが生命を維持していく上で最も重要な物と言っても過言ではありません。体の約70%が水分だと言われていますし、そのうちの20%が失われると生命に関わると言われています。また、もし一切水分をとらなかったら10日も生きてはいられないけれど、水さえ飲んでいれば40日ぐらいは生きることが出来るだろうとも言われています。それほど重要な水なのですが、その中では生きてはいけません。
  足ることを知ると言いますが、いくら必要なものであっても多すぎるとかえって色々な弊害を起こしてしまいます。地位、名誉、お金、生きていく上で必要なものではありますが、それを追求するあまり、そのものにおぼれ、大事なことを見失っているのではないかと思うのです。人それぞれ大切にしているものは違いますが、それが何であっても、とらわれすぎてはいないか、自分の姿を見つめ直すことが必要です。
  人間は、他人に厳しく自分にあまい生き物です。自分で気づくことはなかなか出来ません。阿弥陀様のおはたらきによってのみ、いろんなものにとらわれ、溺れている姿にきづかされるのです。しかしそれで絶望する必要はありません。なぜならば、その溺れている私を目当てとしてくださるお方が阿弥陀様だからです。お正信偈に「如衆水入海一味 あらゆる川の水もいったん海に流れ込んでしまえば、海水の一つの味になる」とあるように、濁りきった私であっても阿弥陀様のお救いにあえば、清らかなお浄土に生まれさせていただけるのです。溺れている私、濁りきった私、そんな私を目当てにしてくださる阿弥陀様、なんとも有り難いことです。


                            合掌