正尊寺のお華束(けそく)

報恩講でお供えするお餅のことをお華束(けそく)といいます。
一般には華束(はなたば)と読む字を「けそく」と読み、しかもお餅です。
冬の報恩講の時期は花のない季節です。仏さまへのお供えは華・香・灯が基本です。
花のない季節、お餅を串に刺し、きれいに色を塗ってお花としてお供えしたのがはじまりでしょう。
飛騨の正月を飾る餅花も同じような想いからはじまったことでしょう。

正尊寺でもこの伝統を守り、報恩講のお飾りのメインとして多くのご門徒によってお華束が作られています。
このページではお華束の出来るまでを写真で解説しましょう。

 

お華束の出来るまで

 

   
一晩水にさらされた餅米。正尊寺は約9升の餅米を使います。
お華束は餅米だけで作る単なるお餅ではないのです。

 

 


うるち米をお米屋さんで粉にしてもらい、これと混ぜて作るのです。
お華束には9升使いますが、取り粉などに使うため1斗くらいは粉にします。

正尊寺の場合、餅米・米粉1対1の割合

 


米粉を混ぜた餅米を単純に蒸してついても固まりません。
蒸す前に米粉の団子を作ります。

 

 

 
お湯を入れながらしっかりと練り上げます。

この加減は長年の感だそうで、このページでは説明できません。

 


米粉の団子が完成したら、餅米の上において蒸します。

ゆで卵のように米粉の黄身が白身の餅米黄身にくるまれて蒸し上がります。

 


正尊寺は文明の利器、電動餅つき器を使います。

但し、マニュアルの解説通りやオートではうまく行きません。ベテランのヘラさばきとスイッチの加減、微妙なタイミングで餅になっていくのです。

 


つき上がった餅を米粉をしいたのし板にのせ広げます。

のし板の両端に9oの添え木をあて拡げると均一なのし餅が出来るのです。

 


丸くのし餅を抜くのには、水道の22oビニールパイプ継ぎ手を使います。

10円玉位の直径を抜くのに色々試した結果、ビニールパイプの先の外側を鋭角に削って使うのが、使いやすく安価、しかも、のし板に傷が付かず最高です。

 


8000個近いお華束の玉、人海戦術で型抜きをしていきます。
型を抜かれ残った部分は集められ、また餅つき器でつき直され、再生しのし餅にされます。

 

 

 


米粉をまぶし、一個一個形を整えながらお華束形成版にきれいの並べられます。

並べて手によって丸みがちがいます、けれど問題ありません。

 


お華束形成版を並べてみました。

壮観です!

 


9oの枠がついたお華束形成版を重ね一晩寝ると厚みも均一、はかったような同じ大きのお華束玉ができ上がります。

 


一晩寝かしたお華束玉をこし器にかけ、取り粉に使った米粉をふるい落とします。

 


いよいよ、お華束盛りです。
十数人かかりで、半日以上かかります。
金串にお華束玉一個分のすき間をあけ空けて真ん中にさしていきます。
手間と根気の作業です。

 


まだらに刺さった金串を、台座に丸く囲うように立て心棒にくくり付けます。
まだらに空いた部分に、お華束玉を詰め込んで行きます。
最後にてっぺんに丸餅をのせ完成。

 


さらに翌日、報恩講お取り持ち当番の門徒の人たちの手で彩色されます。
基本は、斜め筋(床屋さんの看板みたいに)と、菱形模様の二つのパターンです。

 


この彩色には塗手の個性が表れます、色の濃い時や薄い時、ネジが真っ直ぐだったり、毎年その時々で出来栄えの変化があり楽しみです。

おさがりで頂いたお華束は、アミで焼いて醤油を付ける、油で揚げる、おしるこに入れ煮る、など色々調理法があります。
親鸞聖人報恩講のメインのお供えです、工夫して食して頂きたいものです。

お華束の変わった調理法がありましたら、掲示板に書き込み皆さんに教えて下さい。